DIR EN GREY ニューアルバム『The Insulated World』レビュー

2018/09/26に、約4年の時を経て、DIR EN GREYがニューアルバム『The Insulated World』をリリースしました。
力強く、ヘビーで、でもどこか儚げな収録曲は、聞く人を魅了する作りになっています。
そして、DIR EN GREYらしさを貫きつつも、近代的なメタルの要素も取り入れられているアルバムとなっています。

2019/03からThe Insulated Worldのツアーが開始される予定となっています。
僕はそのツアーに向け、各曲を毎日のように聴き、どのようなノリになるかをイメージしています。

そんなDIR EN GREY ニューアルバム『The Insulated World』のレビューを1曲ずつしていきたいと思います。





The Insulated World – 収録曲について

収録曲は以下の13曲 + 6曲(限定盤 DVD付 or Blu-ray付のみ)です。
限定盤のみ、鬼眼を含めたリメイク3曲、ライブバージョンの曲が3曲収録されています。

アルバム全体を通して思うのは、メタルと呼ぶにはあえてギターのサウンドがオーバードライブ気味に作られているし、かといってロックと呼ぶには重すぎるサウンドという、これまでDIR EN GREYが築いてきたその世界観を崩さずに激しさと重みをふんだんに盛り込んでいるなということです。

もはやDIR EN GREYはジャンルに縛られずに自由に自分たちを表現しているなと思えるアルバムとなっています。
そして収録曲の歌詞には、京が今伝えたいことが全て詰め込まれているらしいので、歌詞も必見となっています。

通常収録曲
  • 軽蔑と始まり
  • Devote My Life
  • 人間を被る
  • Celebrate Empty Howls
  • 詩踏み
  • Rubbish Heap
  • Values of Madness
  • Downfall
  • Followers
  • 谿壑の欲
  • 絶縁体
  • Ranunculus


限定盤収録曲
  • 鬼眼
  • THE DEEPER VILENESS
  • 理由
  • 腐海 [LIVE]
  • Ash [LIVE]
  • Beautiful Dirt [LIVE]


The Insulated World – Radio Edit Ver.

Apple Musicに入会すると、The Insulated WorldのRadio Edit Ver.を聴くことができます。

Radio Edit Ver.はThe Insulated Worldに収録されているいくつかの曲を短くカットした楽曲が収録されています。
通常版と聴き比べると、その違いを楽しむことができるので、ぜひ聴いてみてください。

The Insulated Worldの他にsukekiyoのいくつかの曲もApple Musicで聴くこともできます。
個人的にはDIR EN GREYの全ての楽曲をいつかApple Musicで聴けるようになればいいなと思っています。
そんな時代がもうすぐそこに来ているような気がします。

The Insulated World – 収録曲レビュー

それでは、このアルバム『The Insulated World』に収録されている曲を1曲ずつレビューしていきたいと思います。

軽蔑と始まり

このアルバム『The Insulated World』の楽曲中、一番激しい楽曲となっています。
そして歌詞にもその激しさが反映されているように見える楽曲です。

この曲で特徴的なのは、ギターリフで1拍目8分裏と3拍目8分裏にアクセントが入っているため、少し気を緩めると裏と表がひっくり返って聴こえてしまうところです。
ドラムもバックビートで演奏しているため、それが相まって8分裏が表に聴こえてしまうように作られています。
非常にセンスあふれる曲と言えます。

初めてこのアルバムを聴いた時、1曲目からとんでもない曲を入れてきたなと思いました(笑
ですが、聴き慣れてくると、この裏拍のアクセントが癖になる曲です。
ところどころ1/2のテンポになるところがあり、ライブ中に客がノリやすい状況を作っています。

8分裏のアクセントを除けば曲中の構成はそんなに難しくないため、曲を覚えればライブで楽しめる曲になると思います。
またこの曲のノリは、『C』や『秒針』などのDIR EN GREY特有のあの何とも言えないかっこいいバックビートを前面に押し出しています。

Devote My Life

前作『ARCHE』に収録されている曲の雰囲気に少し似ていますが、やはりこのアルバム『The Insulated World』に収録されている他の楽曲と同じように力強さと激しさが入り混じった曲になっています。

イントロはドラムのスネアのみを使用した8ビート、不安を感じさせるギターフレーズから始まり、そのままボーカルメロディへと繋がっていきます。
曲の途中ではアップテンポからスローテンポになる箇所があり、ライブでは確実に頭を振りたくなるようなノリを出しています。

ギターは終始不安になるような不思議なフレーズを発し、スローテンポの箇所ではベースの重いサウンドで曲が盛り上げられています。
ベースはドラムやギターのリズムと上手く絡み、独特なグルーブを出しています。
何とも言えない不思議な空間を作り出している曲です。

人間を被る

シングルとして発売された曲ということもあってか、激しさと重さの中に少しキャッチーな部分が見受けられる曲です。
ですが、ほどよくキャッチーになっているのみで、決して僕たちに媚びた曲にはなっていません。
いい意味で、DIR EN GREYを貫いている曲になっていると思います。

この曲のタイトルと歌詞はなんとなく、京が制作した絵本『The Zemeckises』とリンクしているような気がします。

DIR EN GREY 京が描くおどろおどろしい絵本『The Zemeckises』レビュー

ギターリフはほどよく重く、そしてノリやすいリフになっています。

ドラムのフレーズはShinyaの素晴らしいテクニックがふんだんに含まれています。
最近のSyhinyaのドラムフレーズはメタルのいいところを取り入れれつつ、彼独自の持ち味を活かしているなと感じます。

前々作『DUM SPIRO SPERO』をリリースしてから発売されたDVDにて、Shinyaにドラムを教えている講師? のような人が「Shinyaのドラムは完全に完成していて安定している」と言っていました。
僕も同意見ですが、その意見を超えて、Shinyaはまだまだ成長しているんだな、とこの曲を聴いた時思わせられました。

Celebrate Empty Howls

面白いギターリフから始まる曲です。
DIR EN GREYらしいな、と思いもするし、何か今までの彼らの曲とは違うな、とも思える不思議な曲です。

今回のアルバム『The Insulated World』は京のグロウル、ホイッスルがふんだんに盛り込まれていて、にやにやが止まらない仕上がりになっていますが、この曲は特に色んなことをやってるなと思います。
本当に京のグロウルを聴いてると元気が出てきますよね。


DIR EN GREY全ての曲に言えることですが、京は本当に素晴らしいボーカリストだといつも思います。
どのメンバーが欠けてもDIR EN GREYには決してならないのは当たり前ですが、京の表現力あってこそのDIR EN GREYだなとも思います。

楽曲中に散りばめられている効果音的なボイスに加え、曲に厚みを出す様々な奏法と重ね録り、本当に素晴らしいと思います。
この曲を聴くと京すげーなと思います。
さすが表現者!



詩踏み

この曲もシングルとしてリリースされた曲です。
といっても、かなり個性的な曲になっています。

Aメロが始まる前にある無音時間が奇をてらっていて本当にかっこいいです!
無音時間を取り入れるのって結構勇気いると思うんですよ。

取り入れ方をミスるとめちゃくちゃダサいし、伝えたいことを伝えきれない不完全燃焼な曲になってしまう可能性もあると思います。
ですが、この曲は上手く、そしてめちゃくちゃ自然に曲中に無音時間を取り入れているなと思います。

この曲はライブで何度か聴いたことがありますが、この無音時間ってすごくスリリングなんですよね。
もしメンバー内の誰か一人がフライングしちゃったら全てが台無しになりますしね。
なので、メンバー含め、客も含めて全員が次のフレーズを静かに待つという異様な空間が出来上がるんですよ。

そのスリリングさがまたかっこよかったりもして、聴いていて気持ちのいい曲です。


曲の長さは、なんと3分とかなり短いです。
ですが、そんな短さを感じさせない濃密といえる曲の展開が盛り込まれています。

一言でいうと、めちゃくちゃセンスのいい曲です。

Rubbish Heap

この曲めっちゃ好きなんです。
なぜなら曲中にあるギターリフに、近代的なメタルのセンスが取り込まれているからです。

メタルが好きな人は聴いたことがあると思いますが、この曲にはDjentというメタルのジャンルでよく見受けられるギターリフが取り込まれているのです。
かつ、本当に少しだけDjentの成分を取り入れているだけなので、DIR EN GREYらしさを失っていません。

DjentとDIR EN GREYを混ぜるとこんな化学反応が発生するのかと思った曲です。
とにかくDjentの成分を上手く取り入れたDIR EN GREYのセンスのよさに乾杯です。

そして曲全体を通して、ライブで絶対に盛り上がれる曲になっているのもポイントが高いです。

Djentでおすすめのバンドの記事を書いています。
よければこちらも読んでみてください。

【おすすめ】ジェントでプログレッシブなメタルバンド『Red Helen』のデビューアルバムをレビュー



このアルバム『The Insulated World』の中では静かな部類に入る曲です。

DIR EN GREYのアルバムには必ずこういう落ち着いた曲が入っているんですが、この曲は他のアルバムの同じ種類の曲と比べ、このアルバムのコンセプトを忘れずに作られている曲だと思います。
そのため、静けさの中に、このアルバムのテーマ? 怒りのような、激しさのような何かを感じ取れます。

他のアルバムにあるこのような系統の曲も、そのアルバムのコンセプトを意識した楽曲となってはいますが、個人的な意見としては、少しコンセプトから外れすぎているかな? と思ったりもします。
ですが、この曲はきちんとこのアルバムのコンセプトが守られているため、アルバム全体を通して聴いていても全く違和感がない曲となっています。

そしてToshiyaのベースがめっちゃかっこいい!
うねうねしててついついベースに聴き入ってしまう曲です。
もちろん、ギターとドラムとの絡みも抜群ですよ!

Values of Madness

この曲はアップテンポな曲ではないですが、重みのあるかっこいい曲です。

この曲は、このアルバムが発売される前のライブで演奏された曲の1つです。
ライブで聴いた時から自然と身にしみこんでくる曲だなと思っていました。

アルバム曲としては少しキャッチーな部分もありますが、『人間を被る』、『詩踏み』とは異なるキャッチーさがある曲です。


曲の始まりのギターリフが特徴的です。
絶対に頭を重々しく振りたくなる曲と言えます。

Downfall

限定盤のDVDでDieが述べていましたが、曲中にあるギターのリフが速さを限界突破している曲です(笑
これライブでちゃんと演奏できるのかなってくらい右手に負担がかかりそうな曲です。

ギターのリフとサウンドが重々しいのがポイントです。

この曲もライブで盛り上がるだろなって簡単に予想できてしまえる完成度の高さです。
DIR EN GREYの全ての曲に言えることですが、ライブ中に客がどのようなノリ方をするかをきちんと計算した曲となっているように感じられます。

後、いちいちさり気ないギターのキメがかっこいい曲でもあります。

Followers

ちょっと機械的な感じのする曲です。

この曲もこのアルバム内では少し落ち着きがある曲かなと思います。
ですが、きちんとアルバムのコンセプトを意識し、そのコンセプトから外れていない曲でもあります。

このアルバムでは、こういった少し落ち着きがある曲ではToshiyaのベースのやばさが非常に際立っています。
サビでのドラムとベースの絡みはまじで神がかっていると言えます。
早くライブで聴きたい(切実

この曲の終わりから次の曲『谿壑の欲』への流れがすごくかっこいいので必見です!

谿壑の欲

曲のタイトルがまじで読めない!

谿壑と書いて「けいがく」と読むらしいです。
谿壑について調べたら、Googleの検索候補として「谿壑の欲 読み方」と出てきました(笑
このアルバムが発売された直後、谿壑とは何か? と検索されたに違いないです。

ちなみに意味は「深い谷。渓谷。」、もしくは「《深い谷川の水は尽きないところから》欲望が次から次と起こって満足を知らないことのたとえ。」らしいです。


歌詞の冒頭で「いつにも増して穏やかな 穏やかな朝」と書かれているにも関わらず、初っ端から不穏な雰囲気が醸し出されているセンスの高い曲です。
そしてShinyaのスネアの力強さが半端ないです。破壊力ありすぎ!
また、ハイハットオープンも同じような破壊力です。まじでかっこいい!

この曲は、何らかの怒りを象徴しているように感じられます。


このアルバム『The Insulated World』の中でこの曲が一番お気に入りです。
1日中ずっとこの曲リピートしてても飽きないくらい好きです(笑

曲の終わり方がぷつっと切れる感じなのも好きなポイントです。
何か切れてはいけない糸が切れたの? そんな不穏な何かを感じさせられる曲です。

絶縁体

『谿壑の欲』に続き、この曲も不穏な始まり方をします。

ギターの遠くで鳴るメロディが儚げな雰囲気を醸していて最高です。
でも力強さはきちんとあり、曲全体として聴くと弱々しくはないんですよね。不思議。

この曲も少しゆったりとしたスローテンポな曲なため、当然ToshiyaのベースがSUGEEYO!
曲の中盤でアップテンポになる箇所があるのですが、今京が訴えたいのはこれなんだろうな、と感じさせる歌詞がすっと自分に入ってくるのが聴いていてわかると思います。

Ranunculus

このアルバムがリリースされる前のライブで演奏された曲の1つです。
今までのDIR EN GREYにはない、静かで、でも力強さが節々に感じられる不思議なバラードな曲です。

一見単純な構成に感じられますが、ボーカルの第一声が入るタイミングは普通ではないし、1番目のサビが終わった後の次のAメロに続く間奏では一瞬激しさを見せたりなど、かなり曲の構成に力を入れているのがうかがえる楽曲です。
曲の後半ではギターの単純ではあるが力強いリフ、京のメッセージ性を伴ったボイス、ピアノサウンド、全てが合わさり、その様は僕たちを感動させます。

今DIR EN GREYが僕たちに伝えたいことを詰め込んだ楽曲になっていると僕は思っています。
また、この曲の歌詞を読むと、歌詞から今の京の気持ちがひしひしと伝わってくる気がします。

初めてこの曲をライブで聴いた時、涙がでそうになったくらい完成度の高い曲です。



鬼眼 – リメイク(限定盤収録曲)

3番目のアルバムに収録されていた『鬼葬』のリメイク曲です。

曲の冒頭はシンセサイザーによって壮大な感じに仕上がっています。

京が今できる表現力を駆使し、録り直されているため、今の京が鬼眼を歌うとこうなるんだなとしみじみと思わせられる曲でした。
かといって昔のこの曲の雰囲気を全て覆すわけでなく、当時使っていた歌唱法も使用されていて、なんだか色々と感慨深いリメイク曲だなと思いました。

残のリメイクほど変化は感じられませんが、でも聴いていて楽しい曲であるのは確かです。

THE DEEPER VILENESS – リメイク(限定盤収録曲)

この曲もリメイクです。

『THE MARROW OF A BONE』に収録されていた楽曲です。
リメイク前よりも怒りの成分がそぎ落とされ、重さが増したというのが僕の感想です。

当時のDIR EN GREYは色々と迷いがあったのか、その迷いがライブや曲内によく表れていたと思っています。
その1つの要素として、「前面に押し出された怒り」だと思うのですが、このリメイクでは迷いのない京の声が聴けます。

このリメイクでは当時感じていただろう怒りを一種の芸術として上手く体現し、昇華できているなと感じました。
リメイク前、後、どちらにもいいところがありますが、僕はリメイク版のほうが聴いていて落ち着きます。

理由 – リメイク(限定盤収録曲)

まさかの『MACABRE』からのリメイク!
しかも『理由』!

学生時代にこの曲の歌詞とこの曲のよさを気に入り、何度もカラオケで歌っていたのをよく覚えています。
そんな懐メロがこうやってリメイクされたのは本当に嬉しいことです。
今の京が歌うと、こんなに違った味が出るんだなと思いました。

限定盤は通常版よりかなり値段が張りますが、この曲のために買ってもいいと言えます。
実はこのアルバムがリリースされる前のライブで演奏されたのですが、レコーディングした曲で聴くとまた一味違うなと思いました。

まとめ

DIR EN GREYは常に進化をし続け、これからもそうなるだろうバンドだと思っています。
これからも、彼らがどう進化していくかを見届けたいと思います。

アルバムがリリースされたばかりですが、次のアルバムも非常に楽しみです。
次のアルバムはいったいどのように僕たちを驚かせてくれるのか……




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