翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その9

「すばらしい!」アクトン氏は声を上げた。
「取るに足りない問題ですよ」ホームズは言った。「しかしながら、僕たちは今、重要な論点に触れています。筆跡から人の年齢を推定することは、専門家によってもたらされる注目に値する的確さの一つだということをあなたは知らないかもしれません。普通専門家は、これまで築き上げてきた十年来の自信によって、人を特定することができます。僕は、普通は、と言っています。病気や肉体による虚弱は老齢の表れを生むからです。病人が青年期の時でさえもね。この事件の場合、強く書かれた文字と、tの交わりが失い始めているけど、それでも読みやすさを保ち続けていくぶん見た目が崩れた文字の太さを見る限り、片方が若い男の文字で、もう片方は老化を感じさせないようにされてきた文字ということを知ることができます」




「君はなんてやつだ!」アクトン氏は再び声を上げた。
「しかしながら、絶妙かつ大きく興味をそそる更なる点があります。二つの筆跡の間には共通するものがあるのです。この二つの筆跡は、同じ血縁者によって書かれたものなのです。あなたは、eの書き方がギリシャ語であることをすぐわかるかもしれません。ですが僕にとっては、同じ特徴を指し示す多くの小さな点があることがわかります。それら二つの書き方は、ある家族の習慣に由来する可能性があるということに一点の疑いもありません。もちろん、僕は今、その手紙の主要な調査結果のみをあなたに伝えています。他に、専門家にとってより興味深いものになるだろう二十三個の推理もあります。それらの推理は全て、カニンガムさん親子がこの手紙を書いたという僕の意見に悪い印象を与える可能性があります。これまでの推理を理解したところで、次の段階は、もちろん、事件の詳細を調査し、どれくらいその調査結果が僕たちに手を貸してくれるだろうかを確認することでした。僕はフォレスター警部と一緒に屋敷に向かい、確認できるもの全てを見てきました。被害者につけられた傷は、完璧なる自信をもって確認したとおり、四メートル少々の距離から銃で撃たれていました。被害者の服には火薬が付着していなかったからです。従って、アレクさんは明らかに、銃が撃たれた時、二人の男がもみ合っていたという嘘をついていたということです。加えて、カニンガムさん親子は犯人が道路に逃走したという場所に関して供述が一致していました。しかし、あいにくですが、そこにはやや広いどぶがあります。そのどぶに逃走した形跡がないことを確認すると同時に、カニンガムさん親子は嘘をついただけでなく、その正体不明の男は、決してその場にいなかったということを僕は完全に確信しました。そして次に、この一風変わった事件の動機をよく考えなければなりません。この動機を捕らえるために、僕はまず、アクトン邸で起きた強盗事件の理由を解決しようと努めました。僕は、大佐が僕たちに話してくれたことから、ある裁判がアクトンさんとカニンガム家の間で続いてきているということを理解しました。もちろん、カニンガムさん親子が、その裁判において重要になるかもれないいくつかの書類を手に入れる意図を持って、あなたの書斎に侵入したという考えはすぐに思い浮かびました」
「まさにその通りだ」アクトン氏は言った。「彼らの動機に関して何ら疑いの余地はない。私は現状、カニンガム家の資産の半分に値する明確な権利を持っている。そしてもし彼ら親子が、幸運なことに、私の事務弁護士の金庫の中にあったある一枚の書類を見つけることができていたなら、間違いなく、カニンガム親子は裁判において有利に働かせることができる権利を得ていただろうな」
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