翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』あとがき

シャーロック・ホームズ『ライゲートでの難問』はいかがだったでしょうか?
小説の翻訳として、これが初めてとなります。
ところどころ荒い箇所も見受けられますが、個人的には自分が表現したかったことを余すことなく表現できたかなと思っています。

この『ライゲートでの難問』の物語とともに、僕の翻訳した文章や文章の流れがあなたの心に少しでも響いていれば幸いです。
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その10

「そういうことです」微笑みながら、ホームズは言った。「危険で無謀な試みだったのです。その無謀な行為には、アレクさんの影響力が大きかったように思われます。そしてカニンガムさん親子は何も見つけることができず、あるありふれた強盗が現れ、その輩が持ち帰ることができるもの全てを最後に奪い去ったと思わせることによって容疑をそらすことを試みた。これで申し分なく全てがはっきりしました。ですが、まだ明確になっていない極めて重要なものがありました。何よりも僕が求めたものは、欠落した手紙の残りを手に入れることでした。僕は、アレクさんがその手紙を被害者の手から破ったと確信していました。そして、それをガウンのポケットに突っ込んだに違いないとほぼ確信していました。他にどこに、アレク氏はその手紙を保存している可能性があったでしょうか? 唯一の問題は、まだポケットに手紙があるかどうかでした。それは、調べる努力をする価値がありました。そしてその手紙のために、僕たち全員はカニンガム邸へと向かいました。僕たち全員が覚えているとおり、勝手口の外で、カニンガムさん親子は僕たちと合流しました。もちろん、カニンガムさん親子がこの手紙の存在を思い出さないだろうことが最も重要なことでした。さもなければ、カニンガムさん親子は当然、あの手紙を真っ先に破棄していたでしょう。フォレスター警部は、まさにカニンガムさん親子に、世界中で最も幸運な機会によって僕たちがその手紙を差し押さえられそう、という重要なことを話すところでした。それは、ある一種の発作で僕が倒れた時のことです。ですがその結果、会話の流れは変わりましたがね」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その9

「すばらしい!」アクトン氏は声を上げた。
「取るに足りない問題ですよ」ホームズは言った。「しかしながら、僕たちは今、重要な論点に触れています。筆跡から人の年齢を推定することは、専門家によってもたらされる注目に値する的確さの一つだということをあなたは知らないかもしれません。普通専門家は、これまで築き上げてきた十年来の自信によって、人を特定することができます。僕は、普通は、と言っています。病気や肉体による虚弱は老齢の表れを生むからです。病人が青年期の時でさえもね。この事件の場合、強く書かれた文字と、tの交わりが失い始めているけど、それでも読みやすさを保ち続けていくぶん見た目が崩れた文字の太さを見る限り、片方が若い男の文字で、もう片方は老化を感じさせないようにされてきた文字ということを知ることができます」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その8

 シャーロック・ホームズは約束を守った。ちょうど十三時に、ホームズは大佐の喫煙室で私たちと合流した。ホームズは背の低い老紳士と同行していた。そして、その老紳士は、最初に強盗に忍び込まれていたアクトン氏だと紹介された。
「僕が大佐にこの小さな事件の全容を説明する間、アクトンさんが出席することを僕は希望しました」ホームズは言った。「アクトンさんが僕の説明によって、非常に興味深い何かを得ることは当然だからです。大変恐縮です。親愛なるヘイター大佐、私のような厄介者を泊めてしまったことを後悔しているに違いありません」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その7

 治安判事は肩をすくめ、質素な家具が置かれたごくごく普通の部屋へ私たちを案内した。私たちがその部屋の窓に移動すると同時に、ホームズは私と彼が最後尾になるよう後ろに下がった。ベッドの足近くにあるテーブルには、オレンジが盛られた皿と水差しが並んでいた。私たちがそのテーブルを通り過ぎると同時に、筆舌に尽くしがたいが驚くことに、ホームズは私の前に屈み、テーブルにあるもの全てをわざとひっくり返したのだった。水差しは数えられないくらい粉々に割れ、オレンジは部屋の隅という隅に転げ回った。
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その6

「まず、」ホームズは言った。「カニンガムさん、あなたに報酬を用意していただきたい。というのは、警察だと、その金額に合意するのに少し時間がかかるかもしれませんし、更にこういうことは即座に決定されたためしがありません。報酬に関することはこの用紙に書き留めてきました。もしカニンガムさんがこの用紙に署名していただけるなら……。僕は50ポンドで十分なくらいだと考えています」
「喜んで500ポンド支払おう」治安判事は、ホームズからその用紙と鉛筆を受け取りながら言った。「だが、この用紙に書かれた内容は正しくないな」その文書にざっと目を通し、カニンガム氏はつけ加えた。
「急いでそれを書いたもので」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その5

 ホームズが喋り終えると同時に、二人の男が屋敷の隅の辺りから庭園内の小道を降りてきた。一人は威厳に満ち、深いしわが刻まれ、重々しい目をした顔つきの初老の男だった。もう一人は、快活で人当たりのよさそうな威勢のいい青年だった。その青年の服装は派手で、私たちをこの屋敷にもたらした用件とは奇妙なほどに不釣り合いであった。
「あらら、まーだそんなところにいらしたんですか?」ホームズに向けて、アレク氏が言った。「あなたのようなロンドン人は決して失敗しないと俺は考えていたんですよ? やっぱり、とてもじゃないがあなたはそんなに頭が切れるようには思えないなー」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その4

 フォレスター警部が一人で戻ってくる前に、一時間半はゆうに経過していた。
「ホームズ殿は外でその場を行ったり来たりしています」フォレスター警部は言った。「ホームズ殿は私たち四人全員で屋敷に行きたいと言っています」
「カニンガム邸にかい?」
「そうです、ワトソン殿」
「なんのために?」
 フォレスター警部は肩をすくめた。「私には全く検討もつきません、ワトソン殿。ここだけの話、ホームズ殿は病気からまだ全く回復していないのではと思っています。あの人は非常におかしな行動をし続けています。そして心なしか興奮しています」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その3

「我々は、アクトン邸での事件の手がかりを持っていません。ですが、我々は十分に捜査を続ける必要があります。各事件において、同じ強盗だということに疑いはありません。そして、犯人は目撃されています」
「これはこれは」
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翻訳家の卵がシャーロック・ホームズを翻訳してみた『ライゲートでの難問』その2

「旦那様、お聞きになりましたか!」使用人は息を切らした。「カニンガム邸ででございます! 旦那様!」
「強盗かね!」大佐はコーヒーカップを宙に浮かせたまま叫んだ。
「殺人でございます!」
意思とは関係ないように、大佐から自然と息が漏れた。「ああ、なんてことだ!」大佐は言った。「誰なのだ? それで誰が殺されたんだね? 治安判事かね、それとも判事の息子かね?」
「どちらでもございません、旦那様。御者のウイリアムでございます。胸を撃ち抜かれ、もうあの方が話されることありません、旦那様」
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